アジアでのみ使われてきた「数え年」
計算方法や仕組みを解説!
実は知らなかった人も覚えておこう。

数え年って一体何なんだろう?

数え年の計算の仕方や満年齢との違いなどを知りたいな
数え年って耳にする機会はあるものの何だか難しそうだし避けてしまいがちですよね。
筆者も「まぁそんなに使う機会ないしいっか」と逃げ続けてきた過去があります。笑
今回はそんな「数え年」の計算方法や満年齢との違い、中国や韓国など数え年を使用している国・地域についても解説していきます。
それでは早速>>>
- 数え年とは何か
- 数え年と満年齢の違い
- 数え年の仕組み
- 数え年の計算の仕方
- 数え年を使う国・地域
数え年と同じように暦の数え方においても「太陽暦」と「太陰暦」が存在します。
よく言う中国の『旧暦』とは何なのでしょうか?
その答えは【太陽暦】と【太陰暦】の違いってなに?簡単にわかりやすく解説!にて解説しています。

数え年とは?

数え年は英語で「East Asian age reckoning」と言います。
「East Asian」と入っている通り主に東アジアで使われてきた伝統文化なんですね。
では一体、数え年とは何なのでしょうか?
数え年とは?
数え年とは年齢の数え方の一種です。
次からより具体的に見ていきましょう。
数え年と満年齢の違い
今現在、普段僕たち日本人が使っている年齢の数え方は「満年齢」と言います。
皆さんもご存知の通り、満年齢では生まれた時は0歳、その後毎年誕生日を迎えると1歳ずつ歳を重ねていきます。
しかし、数え年は全く違います。
数え年では生まれた瞬間を1歳と数えます。
なぜかと言うと胎児(赤ちゃんがまだ母親のお腹の中にいる状態)の期間も含めているからです。
その理由は人間はこの世界に来た瞬間が誕生ではなく、母親のお腹の中で生命が誕生した瞬間こそが命の始まりと考えているからです。
なので胎児の期間(約10ヶ月)を1年とし、この世界に足を踏み入れた時点で1歳となります。
何だかロマンチックな考え方じゃないですか?
数え年は本当の意味での命の始まりをスタートとしている訳ですね。
これが数え年の仕組みです。
さらには数え年では誕生日に歳を重ねません。
数え年ではいつ年齢が増えるのか
答えは1月1日(元旦)です。
それぞれの誕生日は関係なく、1月1日に全員が一斉に歳を重ねます。
今後一生です。

なぜ数え年では誕生日が重視されないのか
数え年では1月1日に歳を重ねると紹介しました。
なぜそれぞれの誕生日ではなく、元旦なのかと言うと古くの文化が関係しています。
皆さんも何気なく年末には大掃除をしたり、正月のために鏡餅を用意したりしていませんか?
実は何気なくやっているこれらの行為は元々、「歳神様(としがみさま)」と言う神様を迎え入れるための準備なんです。
※年神様とも表記する
そしてこの歳神様こそが数え年において元旦に歳を重ねる理由です。
皆んなが歳神様からもらえるのが「お年玉」です。
お年玉と言っても古くはお金をもらえた訳ではありません。
お年玉の年は「歳(年)神様」、玉は「たましい」を表していて、お年玉は「歳神様のたましい」と言うことになります。
歳神様から毎年お年玉をもらうことで皆んなはまた1年強く生きる力をもらえます。
つまり、毎年元旦に1年生きる力をもらう=毎年元旦に歳を重ねると言うことになる訳です。
「お年玉」の由来も知ってもらえましたね
普段自分達が何気なくやっていた年末の大掃除なんかも古くの伝統に従っているのが分かりますよね。
知らず知らずの内に僕らはやっぱり文化にとらわれているんです。
数え年で12月31日生まれは目が点

少しびっくりするお話です。
数え年については以下のように説明しましたよね。
- 生まれた瞬間(この世界に足を踏み入れた瞬間)に1歳
- 1月1日(元旦)に歳を重ねる
察しの良い人はもうお分かりかもしれません。
12月31日生まれの人
12月31日に1歳。
翌日(1月1日)に2歳。
つまりこの世界に来てから2日目にして2歳。
びっくりですよね。笑
生まれて2日で2歳です。
この考え方に慣れていない僕らは驚きですが、日本でも1950年頃まではこの考え方が当たり前でした。
割と最近ですよね。
数え年で1月1日生まれの人
12月31日生まれの人は翌日の1月1日で2歳になることが分かってもらえたと思います。
ではその当日の1月1日に生まれた人は生まれた瞬間(この世界に足を踏み入れた瞬間)に2歳になるのか?
この答えはNoです。
1月1日生まれの人は、生まれた年の1月1日は1歳。
翌年の1月1日で2歳となります。
なので数え年では12月31日生まれの人が1番早く歳を重ね、1月1日生まれの人が1番最後に歳を重ねることになります。
数え年の計算の仕方

説明してきたように満年齢に慣れている僕らは数え年での年齢を計算するのは何だかややこしく感じます。
しかし、考え方は至ってシンプルです。
公式を覚えましょう。
公式
- 自分の誕生日を迎えている場合=満年齢+1歳
- 自分の誕生日を迎えていない場合=満年齢+2歳
例.2022年4月10日時点、2000年5月1日生まれの人の場合
- 2022年4月10日では5月1日生まれの人はまだ誕生日を迎えていない=満年齢に2歳+する。
- 2000年5月1日生まれは2022年4月10日時点で、21歳。
- 21歳+2歳=数え年では23歳。
こんな具合になります。
単純に誕生日が過ぎていれば+1、誕生日がまだなら+2です。
今ではあんまり使う機会はないですが、神社での厄払いや七五三なんかでは使うので覚えておきましょう。
数え年を使う国・地域

満年齢ではなく数え年の文化が存在する国や地域はどのくらいあるのでしょうか?
少し気になりますよね。
以下の地域が数え年を採用していました。
- 日本
- 中国
- 韓国
- 北朝鮮
- ベトナム
しかし、今現在も使っているか?は全く状況が異なります。
今現在で数え年が大々的に使われているのは世界で唯一、お隣の韓国のみです。
韓国では数え年文化が根強く残っています。
韓国についてはこの後の章で紹介します。
その他の国は部分的に使用されることはあるものの、基本的には満年齢での数え方に変わっています。
ベトナムのみ少し特殊で、生まれた瞬間(この世界に足を踏み入れた瞬間)に1歳とする数え年の文化は採用し、その後はそれぞれの誕生日で歳を重ねるなど「数え年と満年齢のハイブリッド式」になっていたりします。
中国での数え年の位置付け

数え年の文化は古代中国から始まったと言われています。
数え年に限らず、東アジアの文化はほとんどが古代中国からきていますね。
ちなみに中国語で数え年は虚岁、満年齢は周岁といいます。
そんな中国は数え年の生みの親であり、中国の伝統文化とも言えます。
しかし、現在では中国も近代化が進み満年齢での数え方が一般的になっています。
とはいえ年配の方の多くは未だに数え年で歳を計算することも多いです。
その他、一部の地域、一部の人も年齢を聞かれた際、数え年で答えるケースがあります。
中国は広大なのでやはり各地域による違いは大きく、満年齢で答えなければいけないなどの決まりはないためバラツキがあります。
ちなみに
数え年は1月1日に歳を重ねると解説しましたね。
ですが中国における1月1日は日本の元旦と少し概念が違います。
皆さんもおそらく1度は耳にしたことがあるであろう旧正月を指します。
旧正月は普段僕ら日本人が使っているカレンダーだと1月〜2月のどこかに相当します。
なので中国での数え年は「旧正月」に全員一斉に歳を重ねると言う解釈になります。
太陽暦と太陰暦について知りたいという方は【太陽暦】と【太陰暦】の違いってなに?簡単にわかりやすく解説!にて紹介していますので、ご覧ください。

中国での数え年について説明してきましたが、中国の若者においても「数え年って何のためにあるの?」という疑問の声が上がる事もあるので、発祥の地中国でも数え年は少しづつ消えつつあると考えて間違いないです。
元々「満年齢」とは欧米文化の考え方でしたが、中国や日本でもかつての戦争などで欧米文化が入ってきた際に欧米文化が入り込み、満年齢を採用するようになっていきました。

韓国での数え年の位置付け

※この章の最後に重要な追記あり(2022/4/14)
今現在、世界で唯一数え年を大々的に採用しているのがこの韓国です。
以前、韓国人に年齢を聞かれた際にこんなエピソードがあります。

そういえば何歳なの?
20歳だよ

それって数え年で?
ん?数え年ってなに?

その、生まれた時を1歳として〜・・・
いや、普通の数え方!
あ、普通ってその〜…(満年齢)
このような感じでグッダグダな会話になりました。笑
向こうにとっての普通とこっちの普通って違うわけで、そもそも当時僕は数え年をちゃんと知りませんでした。
なのでイマイチ話が噛み合わず「なんかおかしいなぁ」と思っていました。
このぐらい韓国では数え年を使用するのが当たり前で、話しているとみんな基本的に数え年での年齢を伝えてきます。
逆に満年齢での年齢を聞くと、「えっと〜」って一旦考えるのはよくあります。
年齢については日本でもそうですが、海外においては特にナイーブな話題だったりするのであまり自分から聞くのは避けておいた方が良いです。
聞かれたら聞き返す。ぐらいにしておきましょう。
韓国は世界で唯一数え年を今も使用している、と解説しました。
しかし、韓国国内では数え年を廃止しようと言う声もチラホラ聞こえるようになっているようです。
韓国の今後の動向に注目ですね。
日本でもテレワークの導入など自由な働き方が促進されたり、新型コロナワクチンによってもたらされた改革は多くありますよね。
筆者はテレワークや自由なライフスタイルに賛成なので、新型コロナウイルスは世界の1つの大きな分岐点となり、恩恵も多くあったと感じています。
もちろん1日でも早い収束を祈るばかりですが。
日本と同じように新型コロナウイルスが韓国の歴史を1つ変えることになります。
そして世界から公式の『数え年』と言う文化が消滅することになります。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。
最後に今回のまとめです。
数え年の仕組み
- 生まれた瞬間(この世界に足を踏み入れた瞬間)に1歳となる。
理由→胎児を命の始まりとし、この期間もカウントするから。 - 1月1日(元旦)にみんな平等に歳を重ねる。
12月31日生まれは翌日に2歳になる。
1月1日生まれは翌年の1月1日に2歳になる。
数え年の計算方法
- 自分の誕生日を迎えている場合=満年齢+1歳
- 自分の誕生日を迎えていない場合=満年齢+2歳
以上となります。
現在の日本でもたまに使用する機会があるので、しっかり覚えておきましょう。
それではまた!
